怒りに任せてしまった

空腹なので、1階に降りて夕食を取ろうとしていた。

なかったら自分が作るので、どうしようか考えながら降りると、ご飯は母が用意していたので、器に装うだけ。

いつも通り完食したらまた2階にあがって布団に入るだけ。

だったけど、夕方ニュースでコロナワクチンや首都圏の外出自粛の話をしている時に母が「今大阪、京都に行く奴はアホやな」と、ぼそっと呟いたのをきっかけに怒りが込み上げてきた。

私は話しかけられるのが嫌いだ。

特に気分のいい時は暗い話を隣でするなと言いたい。いい気分が台無しになる。

そもそも奈良から殆ど出る気が無い母がそんな事を呟く辺り、リビングには私1人しかいなかったのだから私に向かって言っているしか無い。

仮に話しかけてるつもりが無かったとしても、紛らわしいからどっか行ってくれとも思う。

それに外出自粛の呼び掛けに効果を感じていない私からすると、そんな事まだ言ってんのかよという感じにしか捉えられないし、何回も言われなくても控えまくっている。意味を感じていないのにだ。

でも私がそれをその場で咄嗟に口に出せる事は無い。口論出来ないのは分かっているからいつも自分がどこかに行く事で対処している。そういった私なりの配慮に気づかずに、もし追うちでもしてきたら私は手が出るだろう。もれなく犯罪者の仲間入りだ。

今まで我慢できていたけど、今回は怒りを表に出してしまった。言葉では無く、机を叩いたり、物を投げる事で気分が晴れる私は持っていた箸を机に叩きつけて、投げた。

手のひらが机にぶつかる音に母は「なにっ!?」と驚いて様子を見に来るが、近づかれるのが不快な私は余計に腹が立った。

「なんでそんな事すんのよ!」

そう言われたが、なぜ自分が息をするように机を叩いたのかその時は私にも分からなかったので、説明が出来ず、余計にイライラした。時間を置いて、後追いしながらこの日記に書くしか原因はすぐに分からない。

私はうるさいなと思いながら「理由なんか無いわ!!」と金切り上げる勢いで母に言い、この話を終わらせようとしたが、「言わないと分からんから、理由を言いなさいよ」とまだしつこく食い下がってきたのでイライラは募るばかりだった。

私の声に驚いた父が「なんやっ!?」と風呂から急いであがってきたのも熱した油に水を数滴落としたような火付けになったと思う。父には母以上に近づかれたくない。

「よぉ考えて行動しや。」

そんな事を父に言われて我慢がならなくなった私は新しい箸を使って食事を再開していたのに、また箸ごと手を机に叩きつけた。

静かに食事が出来ないと思い、怒りを鎮める為に2階に戻ってこの日記を書いている。